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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第104号       ’01−08−31★

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     改革の痛み

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●相変わらず高い小泉内閣支持率は、

 

<改革>の必要が、広く、かつ真剣に受け入れられていることの証明です。

このままでは日本沈没、手を打つなら多少とも体力が残っている今のうち、、

という暗黙の合意が国全体に自然発生したのでしょう。  そうした機運

 

の急速な盛り上がりようはいかにも<キャンペーン型>日本人。 そして

<痛み>論議が始まるやたちまち支持率10ポイント低下、もまた日本人。

<痛み>がどんなものになるか、よく分からないうちにもうギブ・アップ

する気の早さ。  Rational じゃありませんねえ。

 

カッコイイと思ったから支持したよ。 けど、痛い思いをするんだったら

止めとこう、、 みたい。 深くは考えない人、志操堅固ではない人、、

まあそのくらいの割合は、、 いるでしょうな。  

 

 

しかし何かが変われば、その影響は遅かれ早かれ多かれ少なかれ、隅々に

及んで行く。 今さら不支持に回っても<痛み>を免れることは出来ない。

民主主義は多数決主義。 趨勢では、みんな<痛む>ことになるでしょう。

 

もちろん、感じ方に個人差もある、運も絡む。 また、心の持ち方次第で

<痛み>とせずに済む可能性もある。 <痛み>と聞いただけ(ではない

だろうけれど)で腰を抜かすのはナンセンス。  それにしても、

 

<現状>が良い、何も変わって欲しくない、と思う人なら初めから<改革

の小泉>を支持しなかったはず。 釈然としませんが、総論賛成各論反対

というのは、そのようにして生じるものなのでしょう。

 

*   *

 

<痛み>の中で最も身に迫るのは失業者、転職者の大発生。 役所か特殊

法人か、銀行か建設関連か、不必要、不釣り合いに肥大化した部分を切り

詰めて行けば、その余波で相当数あぶれるだろうことは間違いない。

 

<今まで>風が許されない現状、それはむしろ必然。 何事にもオシマイ

は来る。 別に小泉内閣のせいではない、早晩相当整理さるべき職場です。

少し早まっただけでうろたえる?  無価値の自覚ゆえ、でしょうな。

 

一般はこれまですでに、資産の目減りや貯蓄枯渇の不安、散々痛みを強い

られて来ている。 もう一度夢が見られる、とは思っていない。 「日本

アゲイン!」? まさか!

 

人生の幸不幸の総和はゼロ、という説に従うなら、<痛み>はバランス上、

むしろ無くてはならない要素なんですぞ、、 

 

*   *   *

 

と言われても納得なさるまい。 <失業した自分>など想像したくもない。

しかし、全く想像しないのは知的怠慢。 バブル崩壊以後、何でも起こり

得るようになったのだから。  そして、

 

環境変化は一律でも、生じる<痛み>は一様でない。 <痛み>を恐れる

人ほど、痛みを感じることになるはずです。 何故なら、第一に痛む理由

(失うもの)を持っている。 第二に、痛みに対する感度が高い。 第三、

その潜在意識で、自らそれを引き寄せる、、、

 

さらに恐怖を煽るのが野党や評論家。 <痛み>は良くない、という前提

で具体的に示せと迫り、それを示さないのはオカシイと責める。 受け皿

が用意されていない、とか、セーフティ・ネットが、、 とも。

 

どれも、そう簡単に示せるものではなかろう、と思いますがね。 いわば

無いものねだり。 まずは失業保険、そしてあるなら何でも<対症療法>。

その先は自助努力、、 とでもしておくほか無いのではあるまいか。

 

どんな生き方を選ぶか、どのように身を処するか、はそれぞれに選択して

決めること。 受けた教育、蓄えた能力、すべてはその時のため、のはず。

 

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●かつてアメリカに

 

リストラの嵐が吹きまくった頃、高度な頭脳や肩書きを持った人々がやむ

なくタクシーのハンドルを握って凌いでいると聞き、そこまでは我が国の

インテリさんたちにゃ出来まい、とも連想しました。  ところが当節、

 

食うためには、、の人ですらたじろぐ事情、らしい。 先夜の<クローズ

アップ現代>によれば、不景気で客が少なくなった上、競争激化で収入は

大幅減。 仕事がキツイ割りに、で勘定が合わない。 一方、増えたのは

事故。 客!と見るや争って車を寄せるため、また、疲労の蓄積もあって。

 

そんなことで、タイトル通り「タクシー運転手のなり手がない」。 不況

の際は受け皿になる職業でしたが、 と解説者。 これからの<痛み>が

容易でなかろうことを予感させました。

 

 

第一の人生を終えた丁度20年前、46歳の私が職安でいきなり言われた

のは「年齢が、、、難しい」。 しかし現実に難しかったのは雇い主との

相性で、不本意ながら<転々>することが出来たくらいの管理職的求人の

数は(イヌも歩けば)ありました。  今よりはマシ。  それでも、

 

<知識・経験を活かせる仕事>なんて見付からなかった。 見付かったと

しても、望むような報酬額ではあり得ないし、簡単に通えるような勤務地

ではなかったり。 そこまで折り合ったとしても、雇い主との相性が、、、

 

だから、今ならあなた、自分でビジネスを、、 とは申しません。 それ

が可能なら、初めから勤め人になってはいなかったはず、、 でしょ?

 

従って何であれ、いま職に就いている人には、それを精一杯大切になさる

よう、お勧めしております。 たまたま有利な条件で会社が<希望退職>

を募る、と聞いたら心が動くでしょうが、具体的な<次>の計画が出来て

いるのならともかく、体は簡単に動かしちゃいけない。 まず、

 

技法的に分析しましょう。 その会社のその仕事をして、あなたのどんな

MUST や WANT が満たされていたか。 もし<希望>せずそこに残ったら、

果たしてそれらは満たされ続けるのだろうか。

 

また、<次>の仕事では、それらはどう満たされるのだろうか。 どれを

どこまで譲らなくてはならないだろう。 それは、<希望>して手に入る

<好条件>と釣り合うのか、、、

 

もちろん<次>に伴うマイナス影響と、それへの対処方法も検討すべきだ

し、より確実を期するなら潜在的問題分析:PPA。 人生の大きな節目

に、少しの時間をかけて熟慮しても無駄ではないでしょう。  しかし、

 

熟慮したとは思えない、意思決定の速い人が多くなりました。

 

*   *

 

7月某日のNHKクローズアップ現代「なぜ殺到? サラリーマンの希望

退職」。 「今を逃せば退職金ももらえなくなる不安から、」僅か数時間

で募集目標を達成した会社がいくつもある。 さながら「待ってました」。

 

皮肉なことに<意思決定の速い人>は、やはり能力ある人。 本当はいて

欲しい人が<希望>してしまう。 一挙に何人も抜け、困る。 やむなく

急遽、派遣社員を雇ったり(かえって頭数が増えるんじゃ?)、管理職が

業務に当たったり(過労死、出るかもね)、、  

 

あれほどの会社が、という大型倒産を目の当たりにすれば、自社の将来は

さらに危うく見えて来る。 で、見切って<希望>する傾向、と言うのだ

が、何とかサバイバルしてしまう会社もある。 To be or not to be,,,

 

見切らなかった人々においても士気低下は大きいという。 喜んで残った、

というわけじゃなさそうです。  誰にとっても<次>が問題、、

 

*   *   *

 

<次>を決める場合の最重視点、50代は<仕事のやりがい>が31%も。

心情としてはご尊敬申し上げますが、その前提を満たす<次>に出会える

可能性は高くないでしょう。  ましてや

 

<キャリアを生かせる>の20%、これはほとんど考え違い。 それ自体

が<希望>を迫られた理由でもあるのだから。 途上国へ出て、技術指導

でもする、という手も無くはないが、、 言葉が、ねえ、、、  

 

40代、<やりがい>と<収入>がどちらも23%。 ご幸運を祈るのみ。

住宅ローンを抱えてそう望まざるを得ないだろうことは分かるが、難しい。

証明付きの特技があり、それを相手が緊急に求める場合なら別ですが、、、

 

ご本人たちもやや承知で、40代の52%、50代は74%、収入低下も

覚悟している。 が、その額を聞かされた時、気が変わらずに済むかな?

 

驚くのは45%もの<希望>者が、<次>について「辞めてからゆっくり

考える」としていること。 「今辞める」必然性や、「とにかくまず、、」

の切実性がそれほど大きいのでしょう、と解説されたが、

 

私の想像を超えた楽天性。  ま、人生は賭け、ですからな。  でも、

 

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●ジェレミー・リフキンの

 

"The End of Work" (1995) (「大失業時代」 TBSブリタニカ)など

読んでいたら、皆さんずいぶん前から準備したに違いありません。 小泉

<改革>が無くても、いずれ<失業>は訪れて来るもの。 それがイヤに

なるほど懇切に説かれております。 たとえば p.16-17、

 

「以前なら、、、技術革新によって職を奪われたとしても常に新しい部門

 が誕生し、その被解雇者を吸収してくれた。 だが今日では、、、新興

 部門といえば、、、、少数のエリートからなる知識部門ただひとつだ。

 

 情報通信テクノロジーと世界市場の力は全世界の人々を、潜在的に反目

 しあう水と油のようなふたつの勢力----かたや科学技術と生産力を手中

 に収めた<知識労働者>と、、、、かたや希望を失いかけ、地球規模の

 新たなハイテク経済のなかで何らかの意義ある仕事に就ける見込みなど

 皆無に近い、増加の一途をたどる半永久的失業者たち----へ、と急速に

 二極分化させつつある、、、」

 

アメリカ人の彼が書くのは、当然アメリカの話。 しかし、僅かの時間差

でコチラの事情にもなります。  程度や傾向は多少違うにしても。

 

 

「、、人々はいたるところでみずからの未来を案じている。 若者はます

 ます反社会的な行為に、、はけ口をみいだしはじめている。 バラ色の

 過去と荒涼たる将来とのはざまにあって身動きのとれない年輩の労働者

 は、、、手のほどこしようがない社会的トレンドに徐々にからめとられ

 ていく無力さを感じ、、、私たちの知っている生活は、いま、根底から

 変貌をとげつつあるのだ。」  p.24

 

小泉改革に乗じ、各社一挙にその方へ走り出すかも知れませんぞ。 現に、

 

*   *

 

参院選で流れを見きわめるや、松下電産は「9月から早期退職者募集」、

NECは「半導体部門4千人削減」、富士通グループ「本年度1万5千人

削減検討」、東芝「国内外2万人削減」など続々。  それはリフキンの

 

「競争の激しい世界経済の現実に直面した日本の経営者が、今後数年以内

 に経営のダウンサイジング化を図らねばならないとの危機感を強め、そ

 の過程で数百万人の人員削減に乗り出していくことは必至、、」 p.224

 

のホンの一部。 機会を窺っていた各社も憚らず削減案を出すようになり、

行き場の無い人々で溢れる。 それを<再教育>しても、技術進化に追い

付き、雇用側ニーズを満たす人になど出来るものか。  出来たとしても、

 

「まったくの新規雇用をうみだしつつあるこれからの産業、、 その仕事

 の多くは、、目新しいかも知れないが、、働き口は、、少ない。 失業

 率をわずか1ポイント引き下げるためにさえ、、一晩でバイオのような

 産業を11もうみださねばならない、、それは今日の社会の科学的・技

 術的・経済的能力ではとうていおよびもつかない芸当、」 p.49 だから、

 

結局たいした数は吸収しない。 それでも<知識労働者>であろうとする

なら、「(新たな情報・遠隔通信テクノロジー、、)機械類をうまく使い、

それを動かすのに必要な思考プロセスや進取の気性、、」 p.53 が必要。

 

なぜなら、「知識労働者には、、問題の本質を見極め、それを処理し解決

する最先端情報テクノロジーを活用するという、、」p.192 共通点がある

からです。 どこかに可能性を見出そうとするなら、ここがそこ、では?

 

ほかの部分はともかく、<思考プロセス>や<問題の本質、、解決>の辺

Rational Process でカバーできるかも知れませんからね。

 

*   *   *

 

小泉さんも「やってみなくちゃ分からない」と言われた<改革>。 その

中身が具体的でない、<痛み>じゃ分からない、と批判する連中と一緒に

なっていては始まらない。 それが<失業>なら、リフキンの本に限らず、

参考情報は色々ある。  自分のことです、自分で嗅ぎ取らなくちゃ。

 

恐れたり痛がったり、の情緒的反応でサバイバルは果たせません。 理性

的な、即ち Rational な対応が必要です。 その思考習慣があなたを失業

から遠ざけ、万一の場合には<次>へのつながりを有利にするでしょう。

 

即ち、 Rational Process は<痛み>克服、サバイバルのツール!

                           ■竹島元一■

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